見原 礼子 准教授

グローバル地域文化学部
グローバル地域文化学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

文化的多様性に根ざしたセクシュアリティ教育

こんにちは。見原先生は今、どんな研究をしているのですか?

見原先生 長年、ヨーロッパにおける移民の背景を持つ子どもや、その家庭の教育をめぐる課題について研究してきました。近年、集中的に取り組んでいるのが、社会の文化的多様性を踏まえたセクシュアリティ教育に関する研究です。

ベルギーのイスラーム団体におけるインタビューの様子。

セクシュアリティ教育の研究について、もう少し詳しく教えてもらえますか?

見原先生 ヨーロッパではセクシュアリティ教育の重要性が改めて認識され、カリキュラムの策定や制度化・義務化の動きが進んでいます。社会の構成員の文化的・宗教的多様化が進むヨーロッパ社会でセクシュアリティ教育を行う上で、「多様な価値観をどのように考慮すべきか」という問いを避けて通ることはできません。その問いに対して、教育政策・実践論の観点と、移民研究や現代イスラーム社会論の観点から研究を進めています。

研究にのめり込んだきっかけ

先生はなぜ、今の研究分野に興味を持ったのですか?

見原先生 高校生の頃の夢はキャビンアテンダントになることでした。大学3年生の時にオランダへ留学し、そこでイスラーム系移民の友人たちと出会い、多文化社会の現実を目の当たりにする経験をしたことが人生の転機となりました。

その時に、研究の道に進むことを決めたのですか?

見原先生 大学卒業後は大学院に進学し、教育社会学や移民研究の理論を学びながら、オランダやベルギーでフィールドワークを重ねていきました。大学院を修了して初めての本格的なキャリアが国際機関と外務省に関わるものだったので、そのまま実務の世界で働くことを考えていましたが、縁あって日本の大学に戻ることになり、研究者の道を歩むことになりました。

いま研究室で推しの学び

授業やゼミを通して、学生に伝えたいことはなんですか?

見原先生 研究活動を通じて得られるのは、専門的な知見だけではありません。多様な背景を持ち多様な人生を歩んできた人々、世界各地の衣食住の文化や歴史、あるいは「匂い」や「音」との出会いによって、人生観が揺さぶられたり、喜怒哀楽の感情の幅が膨らむこともあります。そのような経験を共有することで、学ぶことや知ることの奥深さをお伝えできたらと願っています。

この研究が持つ可能性とは

先生の研究テーマは、社会にどんな影響を与えると思いますか?

見原先生 果たしうる社会的・学術的貢献は様々ですが、持続可能な社会や多文化共生の課題という、より多角的な観点からセクシュアリティ教育を捉え直すことで、特に日本ではタブー視されがちだったセクシュアリティ教育の方法論や実践課題について、議論を喚起していくことにつながると考えています。

この分野の研究を通して、学生の皆さんにどんな能力が身につきますか?

見原先生 私がこの数年、学生の皆さんと取り組んできたものの一つに、欧州評議会が刊行したセクシュアリティ教育教材を翻訳・出版するプロジェクトがあります。一連の取り組みを通じて学生の皆さんは、このテーマに関する国際的な最新動向や議論に触れ、自らの考察を深める機会を得ることができます。そのような機会を得ることは、学生の皆さんが将来、社会に存在する様々な「答えのない問い」に向き合う時の姿勢にもつながっていくと思います。

欧州評議会刊行のセクシュアリティ教育教材の日本語翻訳版。

見原先生が思い描く未来

先生の今の目標を教えてください。

見原先生 短期的には、現在取り組んでいる研究テーマについての単著を出版することです。研究者だけではなく、一般読者の方々にも手に取ってもらえる本として刊行したいと考えています。中長期的には、国内外の実践家や教育者とともに、社会の文化的多様性を踏まえたセクシュアリティ教育のあり方について考え、実践する場を持つことです。グローバル地域文化学部の学生の皆さんにも、ぜひその実践の場に加わってほしいと思っています。

見原先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

見原先生 大学キャンパスの内と外には多様な風景が広がっています。その風景を思い描きながら、大学進学までの道のりを歩んでほしいと思います。大学生活は十人十色です。同志社大学で、お待ちしています。

見原先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

見原 礼子

グローバル地域文化学部 グローバル地域文化学科

2007年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)取得。フランス国立社会科学高等研究院博士研究員を経て、08年~10年ユネスコ日本政府代表部専門調査員。同志社大学グローバル・スタディーズ研究科助教、同志社大学高等研究教育機構准教授、長崎大学多文化社会学部・多文化社会学研究科准教授を経て、21年より同志社大学グローバル地域文化学部准教授。

出身地:
山口県
趣味:
一般的な趣味といえるものはないのですが、論文執筆の時にはバロック音楽を流すことが多いです。いつか時間ができたら、合唱団に参加してバロック音楽の名曲に触れたいと思っています。
休日の過ごし方:
小学生の子どもが3人いるので、研究会への参加や論文の執筆作業がない時は、なるべく子どもと時間を過ごすことを心掛けています。

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