北岸 宏亮 教授

理工学部
機能分子・生命化学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

医療の進化につながる新しい有機化合物を開発

こんにちは。北岸先生は今、どんな研究をしているのですか?

北岸先生 有機化学の技術によって、人工血液の素材となる物質や、体内の狙った場所に薬を送り届けるための物質など、これまでにない新しい価値のある物質を作っています。また、それらの機能を確かめるための生物学実験も行っています。

合成した化合物を、様々な方法で分析している様子。

研究にのめり込んだきっかけ

医療と関わりが深い研究ですね。先生が化学に興味を持ったきっかけを教えてください。

北岸先生 子どもの頃はTVゲーム(ファミコン・スーパーファミコン)で遊んでばかり。学校の勉強が面白いと気づいたのは高校2年生の終わり頃でした。それまであまり勉強に身が入らなかったのですが、ふと「先生の話をまじめに聞いてみるか」と思い立ちました。それから雑談も含めてメモをとり、家に帰って復習がてらに思い出していると、「先生が伝えたいこと」が段々と分かるようになり、次第に勉強が面白くなりました。
研究の道に進んだきっかけは,単純ですが、化学の実験が面白かったからです。大学4年生ではじめて大学の研究室に配属されました。そこはいくらでも実験してよい環境でした。教科書で書かれた反応を、自由に実験で確かめられる環境がとても新鮮で楽しく、夢中になって実験をやりました。

本当に実験が好きなんですね!

北岸先生 まわりの同級生たちが就職活動をはじめても、一向に就職活動に興味を持てず、のんきに好きな実験をしていました。今思えばまわりに心配をかけるタイプの学生でしたね。。。ちなみに現在も、自分が学生の時と同じ研究室に所属しています。あれから20年経った今も変わらず、同じ場所で夢中になって化学の実験をしています!

変化や反応など、観察することが研究者への第一歩。

いま研究室で推しの学び

まるで“自分の部屋”みたい。先生の研究室では、どんな研究ができるのでしょうか。

北岸先生 有機化学による「ものづくり」が基本です。シクロデキストリンと呼ばれるブドウ糖の一種である化合物に化学修飾をして、人工血液の素材や薬物送達に役立つ化合物(分子ツール)を作っています。

ブドウ糖の一種シクロデキストリンの分子模型。

学生たちはどんなテーマで研究をしていますか?

北岸先生 最近の卒業論文テーマには、「人工ヘモグロビンを用いた火災ガス中毒の解毒剤開発」や、「化学修飾シクロデキストリンによる脳内への薬物送達」などがあります。学生の皆さんは、自らの手で新しい物質を化学合成しています。できた瞬間は感動的ですよ! そのようにして合成した物質を生物の中に入れ、うまく機能するかどうかを確かめるのが研究テーマの基本です。

様々な試薬を用いて、新しい物質を合成する。

この研究が持つ可能性とは

そのような研究の成果は、将来、どんなことに役立つと考えていますか?

北岸先生 研究室では、①生物を見本とする「ものづくり」を通して、生命現象を理解する、②開発した人工ヘモグロビンを社会に役立てる、③シクロデキストリンを使って狙った場所に薬を届けられるようにする、という3つの研究目標を掲げています。これらの研究は、将来的には医薬品や化粧品の開発につながる可能性があります。また、いろいろな現象を分子レベルの視点から捉え、化学的に物事を考察するものの考え方は、どのような仕事に就いても役立ちます。

実験だけではなく、勉強も大事。皆で知識を深め合います。

北岸先生が思い描く未来

先生の目標はなんですか?

北岸先生 研究室で合成された物質を世の中に広めることです。最近では、人工ヘモグロビンの素材となる物質や、それに関連した化合物について特許を取得したり、新しい試薬として企業から販売したりしています。これまで存在しなかった新しい物質を化学の力で合成し、世に出していくことはとてもエキサイティングで夢があります。世の中を少しでも良くするような価値ある物質を作って、どんどん発表していきたいです。

北岸先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

北岸先生 現在、日本では研究者不足による科学技術力の低下が心配されています。たしかに研究者という職業は、雲をつかむような部分があり、安定志向の職業ではないかもしれません。しかし、自分のアイデアひとつで世の中にイノベーションを起こせる数少ない魅力的な職業です。大学という学問の場において、「研究者」という小さな船に乗って大海原に漕ぎ出し、世界を冒険してみませんか? 誰も知らない「お宝」にめぐりあえるかもしれません。世の中は未知であふれています!

北岸先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

北岸 宏亮

理工学部 機能分子・生命化学科

2001年同志社大学工学部卒業、06年同志社大学大学院工学研究科博士課程修了、博士(工学)取得。06年〜08年大阪大学博士研究員、08年同志社大学理工学部助教。09年から1年間スクリプス研究所(アメリカ)への留学を経て14年准教授。20年より教授。

出身地:
大阪府
趣味:
化学(化学にまつわることは、何でも楽しく感じられます)。適度な運動や散歩など、健康的な生活も好きです。
休日の過ごし方:
土曜や祝日は研究室に行くこともあります。日曜日は完全にオフでTVゲームをしています。

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