津田 博史 教授

理工学部 数理システム学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

データサイエンスを金融・観光分野に応用

こんにちは。津田先生は今、どんな研究をしているのですか?

津田先生 AI、自然言語処理技術、データサイエンス、ネットワーク理論を用いて、金融と観光分野への応用研究をしています。

研究にのめり込んだきっかけ

先生はどうしてこの研究への道を選んだのですか?

津田先生 子供の頃は日用品の発明が好きで、中学時代にどのようにしたら特許を取得できるかを勉強したりしていました。実際、学生時代に実用新案をいくつか申請し、企業から引き合いが届いたこともあります。大学院を卒業し、社会に出て働きはじめた頃に、NASAのロケットサイエンティストが米国の金融の中心であるWall Streetで活躍し始めた時代に遭遇し、Wall Streetで米国の大学の先生たちと共同研究を行う機会を得て、金融工学への道に進むことになりました。

アメリカで共同研究をした経験が、今につながっているのですね。

津田先生 31歳の頃、当時研究していたテーマについて、スタンフォード大学(米国)の先生と議論する機会がありました。議論の前日、その先生のノーベル経済学賞受賞の発表があり、ノーベル経済学者と深く議論する機会に恵まれて、自分の研究に自信を得ることができました。たまたま、受賞発表の前にミーテイングを予約していたために会うことができたのだと思いますが、その時の経験がその後の研究の自信につながりました。

いま研究室で推しの学び

先生の研究室の学生は、どんなことを学んでいるのでしょうか。

津田先生 最近の修士論文や学部生の卒業論文のテーマの例には、「自然言語処理による企業業績レポートに関する分析」、「決算短信情報による企業の信用リスク分析」、「銀行資金融資ネットワーク構造の分析」、「企業間ネットワークにおける企業の信用リスク分析」、「企業の信用格付変更予測 ~Decision Treeとその周辺手法の応用~」などがあり、進歩が著しいAI、自然言語処理技術、データサイエンス、ネットワーク理論を用いた金融分野への応用研究(フィンテックの研究)をしています。

フィンテックとは何ですか?

津田先生 金融(finance)とIT(technology)が結びついた分野をフィンテック(FinTech)と呼び、金融業界でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える技術です。世界ではフィンテック企業がデジタル決済をけん引し、電子商取引(EC)、QRコード、国際送金サービスなどの決済を支えています。日本でもデジタル庁が設立されましたが、世の中のデジタルデータの利活用の重要性が高まっています。※デジタルトランスフォーメーション(DX):経済産業省による説明では、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することとされています。

観光分野ではどのような応用研究をしているのでしょうか。

津田先生 観光分野の応用研究では、「京都市の観光地の魅力度分析」、「強化学習による最適観光ルートの推定」、「ネットワーク科学によるインバウンド観光の研究」、「人工知能を用いた画像認識による観光地の人気度評価」といった修士論文や卒業論文のテーマがあり、金融分野への応用と同様にAI、データサイエンス、ネットワーク理論を用いた研究をしています。

みんな、日々、和気あいあいと研究に励んでいます。

この研究が持つ可能性とは

研究室の卒業生は、将来、どんな分野で活躍することができますか?

津田先生 研究したことが直接AIの応用研究、デジタルトランスフォーメーション(DX)の仕事に役立つことから、研究室の卒業生の多くが、日本銀行やメガバンクなどの金融分野、IT企業に就職しています。最近、いろいろな業界でAIやデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが高まっていることから、通信業界、コンサルティングファーム、広告業界、JRなどの運輸業界へと就職先が広がっています。

津田先生が思い描く未来

活躍の場が広がっているのですね。では、先生の今の目標を教えてください。

津田先生 研究している内容が、金融分野と観光分野で新しい分野を開くパイオニア的な研究となり、世の中に貢献できればと思います。

津田先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

津田先生 高校時代に興味があることは、大学や就職してから変わる可能性が大きいですが、何事も好奇心を持って前向きに進むことが大切です。

津田先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

津田 博史

理工学部 数理システム学科

1983年京都大学工学部卒業、85年東京大学大学院工学系修士課程修了、工学修士。99年総合研究大学院大学数物科学研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、同志社大学理工学部数理システム学科教授。日本金融・証券計量・工学学会元会長、代議員。Asia-Pacific Financial MarketのAssociate Editor。大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所客員教授。

出身地:
京都府
趣味:
読書、絵画鑑賞など。
休日の過ごし方:
以前は健康のために近所のスポーツジムに通っていましたが、最近はコロナ禍により自宅で研究をしています。コロナ禍が終息したら、スポーツジムに通うことを再開したいと思います。

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