大谷 直毅 教授

理工学部 電子工学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

環境に優しい半導体光デバイスの研究と開発

こんにちは。大谷先生は今、どんな研究をしているのですか?

大谷先生 発光ダイオード(LED)や太陽電池、すなわち半導体光デバイスの研究です。ただし、いきなりLEDや太陽電池を作るのではなく、低コストで環境にやさしい光学材料の作製や、物性評価をしっかりと行なうことが研究の中心で、それを将来の応用に役立てていきます。

作製した青色蛍光材料の発光の様子。

研究にのめり込んだきっかけ

先生はどうしてこの分野に興味を持たれたのでしょうか。

大谷先生 高校生の頃に電電公社(現在のNTT)が民営化され、「これからは電気通信が伸びる分野なのかな」と考えました。私は北海道出身で、都市部よりも地方の方が情報通信の高度化の恩恵を受けますからね。大学で電気工学を学ぶ中で物性や光に興味を持ったので、大学院修了後に就職した民間企業とその後に勤務した国立研究所では、光通信に用いる半導体デバイスの研究に従事しました。

いま研究室で推しの学び

先生の研究室で、学生たちはどんな研究をしているのですか?

大谷先生 幅広い研究テーマがあります。たとえば、2014年に日本人3名がノーベル物理学賞を受賞した青色LEDは、結晶を作製する時に有毒ガスを用いて、基板を1000度で加熱し続けなければならず、そのため製造コストが高く環境負荷も大きくなります。そこで、私の研究室ではもっと安全な材料を用いて簡単に塗るだけでLEDを作ることができる新しい発光材料を研究しています。

環境にやさしい作り方を考えているのですね。ほかにはどんな研究テーマがありますか?

大谷先生 植物から抽出した色素を用いるLEDの開発も行なっています。これまでのところ、ほうれん草から抽出したクロロフィルを用いた赤色LEDの開発に成功しています。雑草から色素を抽出すれば材料費はタダですから、資源の乏しい日本にはメリットが大きいですよ。

この研究が持つ可能性とは

植物がLEDの材料になるなんて、驚きました!

大谷先生 環境への配慮が年々厳しくなり、将来はこれまでの方法が使えなくなるかもしれません。これからは低コストで低環境負荷な新技術が必要になると考えています。植物色素を使った研究では、クロロフィルと同時に抽出されるβカロテンを用いると、LEDの動作寿命が長くなることも分かりました。植物が自分の体を守る抗酸化作用が工業製品にも役に立つのです。このような発見が新しい学問分野の芽にならないかなと考えています。

大谷先生が思い描く未来

なるほど。では、先生の今の目標を教えてください。

大谷先生 自分たちの研究成果によって、世の中の役に立つ新しい法則、新しい学問や技術を確立したいと考えています。また、植物色素を用いたLEDはイグ・ノーベル賞(※)が目標です(笑)。青色と緑色LEDはまだ開発に成功していないので、ぜひ今の高校生にチャレンジしてほしいですね。※イグ・ノーベル賞:ノーベル賞のパロディとして創設され、独創性に富み、「人々を笑わせ、考えさせる」研究や発明に対して贈られる賞。

大谷先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

大谷先生 幅広いことに興味を持って、自ら情報を収集してじっくりと考えてください。読書はとても大切です。ちょっと気になる分野ができたら、その専門家の話を聞くこともよい機会となるでしょう。もし光や半導体に興味があるのなら、私の分かることであれば何でもお話できますよ。

大谷先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

大谷 直毅

理工学部 電子工学科

1994年北海道大学大学院工学研究科修了。博士(工学)取得。同年、株式会社エイ・ティ・アール光電波通信研究所客員研究員。2001年総務省通信総合研究所(現・情報通信研究機構)光エレクトロニクスグループリーダー。05年同志社大学工学部准教授を経て、11年より同志社大学理工学部電子工学科教授。

出身地:
北海道。高校の同期にDreams Come Trueの吉田美和がいました。大先輩に中島みゆきがいます。
趣味:
旅行、写真、音楽鑑賞(主にジャズ)、陶器、スポーツジム。
休日の過ごし方:
家にいることはほとんどなく、京都や奈良を散策したり小旅行に出たりして綺麗な風景を写真に収めています。

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