秋山 いわき 教授

生命医科学部 医情報学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

超音波を応用した早期診断・治療法の研究

こんにちは。秋山先生は今、どんな研究をしているのですか?

秋山先生 超音波の医療への応用です。超音波診断の特徴は、高い安全性、柔軟な操作性、そして高い分解能(※)ですが、定量性(※)が低く視野が狭いという課題が指摘されています。これらを克服するため、超音波による組織の熱特性の測定、MRIの同時撮像によるマルチモダリティイメージング(※)を行っています。また、新しい超音波の応用として超音波治療や予防が脚光を浴びており、ラットやメダカを使って、超音波照射による遺伝子発現(※)や抗酸化能(※)の向上に関する研究を行っています。※分解能:画像に表示できる最小の細かさ※定量性:数値で比較できる性質※マルチモダリティイメージング:複数の画像診断装置による撮像方法※遺伝子発現:遺伝情報がタンパク質へ翻訳されるプロセス※抗酸化能:活性酸素は老化を早めたり、様々な病気の原因になることがわかっています。活性酸素に抗する能力

研究にのめり込んだきっかけ

先生はなぜ、このテーマに興味を持ったのですか?

秋山先生 子どもの頃から理系の研究者に憧れ、様々な分野の著名な研究者の伝記を読んで、「将来はどのような分野に進むべきか」などと漠然と考えていました。大学4年になって卒業論文のテーマを選択する時に、超音波CT(Computed Tomography)を選んだのですが、当時はエレクトロニクスと情報処理が融合した研究が花開いた時期で、特に医療への応用は最先端の研究として位置付けられていましたので、とても興味を持ちました。祖父が整形外科医だったことも、このテーマを選ぶことに影響したと思っています。

その当時、最先端の研究分野だったのですね。

秋山先生 CTを発明した科学者(ハウンズフィールドとコーマック両博士)は1979年にノーベル賞を受賞しました。私が卒業研究を行ったのは1981年です。当時の指導教授は世界で初めて超音波診断装置を開発した会社と共同研究を行っていて、その会社のエンジニアからいろいろなことを学びました。以来40年超音波の医療への応用の研究に携わってきています。

いま研究室で推しの学び

学生たちは、先生の研究室でどんなことを学んでいるのですか?

秋山先生 「MRと超音波の同時撮像マルチモダリティ・イメージング」、「超音波照射による生体の抗酸化能の向上」、「超音波照射が引き起こす生物の代謝・免疫への影響」、「超音波による非アルコール性脂肪性肝炎の定量診断」、「補助人工心臓で発生する血栓の超音波計測」など、様々なテーマで研究を行っています。

この研究が持つ可能性とは

そうした研究によって、将来、どんなことが可能になるのでしょうか?

秋山先生 たとえば「超音波照射による生体の抗酸化能の向上」では、生体に対して定期的に超音波照射することによって、生体の抗酸化能力が向上することを突き止めました。今後は、超音波照射によって病気の予防を図る方法を考えていきます。また、「超音波による非アルコール性脂肪性肝炎の定量診断」では、日本人によく見られ、最近、特に患者が増えている非アルコール性脂肪性肝炎を超音波照射で簡単に診断できる手法を開発しています。この手法はガンや他のびまん性の疾患も診断できる可能性があります。

卒業生は医療に関連する分野に就職することが多いのでしょうか。

秋山先生 こうした研究を行うためには、電気系、情報系、生物系、医学系の基本的な知識や手技を習得する必要があります。これらの知識と手技は医療機器製造企業、電機製造企業、IT関連企業、機械製造企業、自動車製造企業等での技術開発に役に立ちます。

秋山先生が思い描く未来

先生の夢はなんですか?

秋山先生 多くの患者が苦しんでいる様々な病気を早期に発見し、症状を緩和し、治療して、命を救うためのサポート技術を研究し、それを実現することです。

秋山先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

秋山先生 新型コロナウイルスの感染拡大は、社会や人々の考え方を大きく変えました。今まで普通にできたことができなくなってしまいました。一方、新しい試みや、簡単にできるようになったことを私たちは目にしています。今、何が起こっているかを注意深く、グローバルに見て、そして将来、そのような社会で何をすると面白そうか。そんなワクワクするような気持ちで、大学に来てもらえると嬉しいです。

秋山先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

秋山 いわき

生命医科学部 医情報学科

1982年慶應義塾大学工学部卒業、87年慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士取得。87年湘南工科大学工学部講師、91年同助教授、94年同教授を経て、2012年より同志社大学生命医科学部教授。この間93年〜94年カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員助教授。アジア超音波医学生物学学術連合次期会長、日本超音波医学会理事。

出身地:
東京都
趣味:
フルート演奏、太極拳。
休日の過ごし方:
フルート演奏、スイーツの堪能、音楽鑑賞。

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