城地 孝 准教授

文学部 文化史学科

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

現代につながる中国社会の原型を明清時代の歴史に探る

こんにちは。城地先生は今、どんな研究をしているのですか?

城地先生 中国史のなかでも、16世紀以降の政治や社会、あるいは周辺諸国との関係といった方面に関心を持っています。明・清の両王朝が中国を統治したこの時代に、現代にもつながる中国社会の原型が形づくられたと言われています。中国の特徴と言えるようなものの淵源を、明清時代の中国のさまざまな局面から探ろうとしています。

研究にのめり込んだきっかけ

先生はなぜ、このテーマに興味を持たれたのでしょうか。

城地先生 「近代」について、私たちが慣れ親しんだ欧米由来のものとは違うところから考えてみよう、という思いが何となくあって、そこからアジア、中国のことに関心を持つようになりました。最初は中国近代史を研究するつもりでしたが、大学の授業で課題となったある論文に触れて、「近代」を目指した中国の人々が乗り越えようとした「前近代」とは何だったのだろう、と思い至り、明清時代へと関心が移っていきました。

ゼミでの学び

学生たちは先生のゼミで、どんなことを研究しているのですか?

城地先生 中国や東アジア史にかかわる内容で、各自の関心に応じて自由にテーマを設定しています。秦や漢といった古い時代から、唐の時代に国際貿易で活躍したソグド人、清の時代の制度や社会、あるいは近代中国の思想家や租界(外国人居留地)、中華人民共和国初期の農村に関する問題をテーマにする学生や、日本統治時代の台湾を取り上げた学生もいます。

毎年2月末にゼミの卒業論文発表会を行っています。ひとりの報告と質疑応答をあわせて90分前後という、学部生にとってはかなりハードな時間設定ですが、どの学生もそれに十分に見合う充実した発表ができるようになって巣立っていくのは、指導してきた側にとってもたいへんうれしいことです。

大学で歴史を学ぶということ

歴史を学ぶことで、どんなことが身につけられるのでしょうか。

城地先生 卒業生たちが挙げてくれたことに、良い意味で批判的に物事を見る姿勢、というものがあります。卒業論文をまとめる過程では、なぜそのテーマを調べ、なぜそういう結論になるのか、といったことを自分自身で考え、論理的に説明することが求められますが、それがそのような姿勢につながっているようです。

物事の見方が変わり、論理的に考えられるようになるのですね。

城地先生 他者を理解しようとする姿勢を身につけられる、という卒業生もいました。外国史を学ぶわけですから、当然ながら自分に馴染みのない風習や価値観に触れることになります。それらを理解しようとするアプローチを身につけたことが、何でも挑戦してみようという姿勢にもつながっている、とのことでした。

城地先生からメッセージ

なるほど。最後に、先生の今の夢、そしてこれから大学への進学を目指している人たちへのメッセージをお願いします!

城地先生 中国史の研究の場に身を置けたおかげで、私自身たくさんのことを得ることができました。そのほとんどは研究を離れてはあまり役に立ちそうにありません。しかし、一見、当たり前のように思いこんでいる人や社会というものについて「こういう見方があるのか」とハッとさせられるようなこともないわけではありません。そうしたところに、大学という場だからこそ出会える研究の奥深さのようなものを感じます。授業や論文から直接うかがうのは難しいかもしれませんが、活字から得られること以上に、人と人とのつながりの中で得られることが、実は研究を支える大きな力になっていたりもします。実社会に出る前の大事な時間を過ごすみなさんに、そうしたことを少しでも多く伝えられるようになることが、同志社での自分の目標のひとつです。大学進学を目指すみなさんにも(ともすれば気が遠くなるような)研究の奥深さに実際に触れて、小手先の技術や知識にとどまらない「見る目」を養ってほしいと思います。

城地先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

城地 孝

文学部 文化史学科

2001年北海道大学文学部卒業、10年北海道大学大学院文学研究科修了、博士(文学)取得。04年~06年北京大学歴史学系留学、10年~11年台湾中央研究院歴史語言研究所訪問学人。日本学術振興会特別研究員、京都大学人文科学研究所非常勤研究員などを経て、16年より同志社大学文学部助教、21年より同准教授。

出身地:
北海道
趣味:
弓道。昇段や大会出場を目指して、細々と稽古を続けています。
休日の過ごし方:
週末に入る研究会や校務も多く、家でゆっくりできる休日は貴重です。

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