望月 詩史 准教授
法学部 政治学科
同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。
19・20世紀日本の政治思想を研究
こんにちは。望月先生は今、どんな研究をしているのですか?
望月先生 19・20世紀の日本に生きた人々が、政治をめぐり「何を考えてきたのか」、「なぜそう考えたのか」を研究しています。同時代に生き、同一の課題に直面しても、解決策は人によって異なるのはなぜなのかに興味があるため、最近は後者により関心があります。
なぜ人によって解決策が異なるのでしょうか?
望月先生 「何を優先するのか」という価値基準の違いが影響しています。では、なぜ価値基準が異なるのでしょうか。また、それはどのように形成されるのでしょうか。これらの問いに答えるために、過去と現在の価値基準の比較検討を行っています。
研究にのめり込んだきっかけ
先生はどうして研究者の道を選んだのですか?
望月先生 研究の道に進む決断をしたのは修士課程を修了した後です。実は地元で就職活動をしていたのですが、ある面接で「君は研究について語っている方が生き生きとしている」と指摘され、ドキッとしました。図星だったからです。自分に自信がなく、その時は決断できませんでしたが、「空白の一年」(人生の転機)を過ごす中で決心がつき、博士課程に進学しました。
いま研究室で推しの学び
先生のゼミではどんな内容を学ぶのですか?
望月先生 2年生ゼミと3年生ゼミは輪読形式で実施し、2年生ゼミでは福沢諭吉の『文明論之概略』と中江兆民の『三酔人経綸問答』を、3年生ゼミでは戦後日本の民主主義論を読んでいます。4年生ゼミでは共同研究を行い、現在の研究テーマは「日本の近代化と諸思想——武士道・家・神道の変遷」です。ゼミ旅行を兼ねて研究テーマに関わる史跡や資料館などを訪問しました。
ゼミ旅行でぶらり立ち寄った伊勢志摩にて。
この研究が持つ可能性とは
そうした学びが、将来、どんなことに役立つと思いますか?
望月先生 研究を通じて「稽古照今」(古に学び今に生かす)の姿勢が、僅かでも身につくと思います。いつの時代も人間は先行き不透明な状況の中に身を置かなければなりません。そして、厄介なことに人間はしばしば誤ります。この不完全な人間が、変化する環境に何とか順応できているのは、先人の知恵(知的遺産)を柱とする「経験」を拠り所としているからです。
こぢんまりとしたゼミですが、毎回質の高い議論が繰り広げられています。
ゼミの卒業生はどんな分野で活躍していますか?
望月先生 在学中に身につけた「「経験」から学ぶ姿勢」を最大限に活かせる分野で活躍しています。例えば、公務員、金融、鉄道、物流です。これらの分野は、百年以上も前に誕生し、私たちの生活にとって欠くことのできない存在となっており、新奇性よりも継続性や安定性が重視されます。別の言い方をすると、既存のものを破壊してイチから新しいものを建設するよりも、既存のものを受け継ぎながら時代に応じて修繕したり新たなものを加えたりすることに長けている分野です。まさに「「経験」から学ぶ姿勢」を身につけた卒業生が活躍するにふさわしい分野といえます。
毎年作成するゼミ誌です。ゼミ誌のタイトルは『東雲』、「しののめ」と読みます。
望月先生が思い描く未来
先生の目標、夢はなんですか?
望月先生 同志社の教育理念は「智・徳・体の調和」にあるので、それを体現する人間に近付きたいです。今の私は「体>>>智・徳」ですが、決して体が丈夫なわけではありません。また、夢は歴史上の人物に会って、酒を酌み交わしながら語り合うことです。人物の人柄を知るには、対面に勝るものはありません。コロナ禍を経験してしみじみと感じます。
望月先生からメッセージ
最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!
望月先生 常に何か一つ興味・関心を持ってください。それが行動の原動力になります。内容は何でも良いですし、変化しても構いません。学部学科の専門にこだわらなくても大丈夫です。「面白そう」と思う時、それは「勢」に乗る好機なので、まず一歩踏み出しましょう。選り好みをしていると機会を逸します。「我が生涯に一片の悔い無し」といえる人生を歩んでほしいです。
望月先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!
プロフィール
望月 詩史
法学部 政治学科
2005年同志社大学法学部政治学科卒業、12年同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程修了(博士〈政治学〉)。同志社大学高等研究教育機構助手、法学部助教を経て18年より法学部准教授。
- 出身地:
- 山梨県。近所にずんちゃんパンや明治天皇大嘗祭悠紀斎田跡地があります。
- 趣味:
- 体を動かすこと。ランニング(最近はもっぱら夜ラン)やタッチフットをやっています。
- 休日の過ごし方:
- 妻と近所の喫茶店でモーニングを食べ、それから買い物に出かけたり、映画を観たりします。