鈴木 伸子 教授

グローバル・コミュニケーション学部
グローバル・コミュニケーション学科
日本語コース

ようこそ、研究室へ

同志社大学ではどんなことが学べるの?どんな先生がいるの?
実際の研究室を訪ねて、先生にお話を聞きました。

外国人留学生に特化したキャリア教育を研究

こんにちは。鈴木先生は今、どんな研究をしているのですか?

鈴木先生 近年、日本企業で働く外国人社員が増えています。しかし、この人々にとって日本企業は制度や風土の点で一種の異文化社会とも言えます。そのような環境に適応する外国人社員は、どのようなプロセスを経てキャリアを築くのでしょうか。また、転職や離職をしたら、その後はどのような価値観で働くのでしょうか。こうした問いを長期的なインタビュー調査から明らかにする研究に取り組んでいます。

2019年、タイのタマサート大学で行われたシンポジウムにおける研究発表の様子。

研究にのめり込んだきっかけ

先生はどうしてこの研究への道を選んだのですか?

鈴木先生 子どもの頃はもちろん、企業勤務やフリーランスの仕事を経て30代で大学院に入学した時も、研究者を志していたわけではありません。しかし、大学院の講義や専門書・論文に触れるうちに、少しずつ研究という「沼」にはまり、自分でも研究を手がけるようになりました。

いま研究室で推しの学び

魅力的な「沼」だったのですね。学生たちは先生のゼミで、どんなことを研究しているのですか?

鈴木先生 私のゼミの学生は、多文化社会や異文化接触に特有の問題を、ミクロなレベル(自然会話やSNS等)からマクロなレベル(移民政策やステレオタイプ等)まで様々な側面で研究しています。これまでの卒業論文のテーマとしては、「日本のテレビCMに登場する外国人イメージの変遷」、「日本のマスメディアにおけるLGBTQの表象」、「留学生の就職と進路選択」などがありました。

4年生ゼミの学生達。早くマスクを付けず授業ができるようになるといいですね。

とても幅広くて、どれも興味深いテーマです。

鈴木先生 その他にも、留学生としての言語的な強みを生かして、タイの孤児院でフィールドワークをした学生(タイ人留学生)や、「滞日ベトナム人児童への日本語及びベトナム語指導」という実践研究に取り組む学生(ベトナム人留学生)もいます。

この研究が持つ可能性とは

先生の研究は、どんな場面で役立てられていますか?

鈴木先生 この研究は、大学を卒業後、日本企業に入社した複数の留学生から、不満や悩みが相次いだことがきっかけで始めました。その後、得られた研究成果をもとに、大学から企業への円滑な移行を実現する、留学生に特化したキャリア教育を開発しました。これを学んだ留学生たちは、日本企業で働くことの良し悪しを海外と比較し、その上で就労先国家を決断するようになっています。

外国人社員や留学生の、大きな支えになっているのですね。

鈴木先生 はい、そうなることを目指して日々研究に取り組んでいます。ところで、経済格差をはじめとする多くの社会問題と、日本の雇用制度には密接な関わりがあります。現在、日本企業で働く外国人社員は若年層が中心ですが、近い将来、管理職となる人や起業する人が現れた時、日本特有の雇用制度になんらかの変化が起きないか注目しています。

管理職や起業する外国人が現れると、それがどのように変化する可能性があるのでしょうか?

鈴木先生 定年までの長期雇用や会社指示の配属等、日本企業の雇用にはよく知られた特徴がありますが、重要なのはそれらの特徴が緊密に結びついており、社会保障や教育への公的支出等を通じて政府とも切り離せない仕組みになっていることです。つまり、どこかに問題があっても、ピンポイントでは変えにくいほど強固に完成して社会に深く組み込まれているのが日本企業の雇用制度です。一方、そこへ入社する留学生の多くは定年までの就労を想定していませんし、そもそも彼らが母国で見聞きしてきた就職や働き方の常識は日本とは大きく異なります(このあたりを詳しく説明すると話が長くなるので、残りはゼミで…)。そういうわけで、外国人社員にとって日本企業は必ずしも居心地の良い組織ではないのですが、それでもなんとか入社して日本的な人材育成の枠組みの中で育つ外国人社員が増えています。今後、この人々が管理職として組織を率いるようになった時、新しい視点や仕事の進め方が現れる可能性はありますが、逆に、組織が彼らの取り組みを軽視して大きく変わろうとしなかったら、外国人社員側が愛想をつかす可能性もあります。その結果、彼らが「辞めます!」「起業します!」と言い出したら、経営陣は得難い人材を引き留めるために渋々変わろうとするのではないかと考えています。

鈴木先生が思い描く未来

先生の目標を教えてください。

鈴木先生 グローバル・コミュニケーション学部を、留学生と日本人学生が今よりももっと、ともに学びあう学部にすることです。

2021年11月、社会学部・寺井先生とそのゼミの皆さんと共に、日本の雇用や採用をテーマとする合同ゼミを開催しました。

鈴木先生からメッセージ

最後に、これから大学への進学を目指している人たちへ、メッセージをお願いします!

鈴木先生 違いのある他者との対話からは多くのことが学べます。大学時代は、今まで会ったこと、話したことのない人とも思い切って言葉を交わし、自分の世界を広げてみましょう。

鈴木先生、本日は様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

プロフィール

鈴木 伸子

グローバル・コミュニケーション学部 グローバル・コミュニケーション学科
日本語コース

お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科修了。博士(人文科学)。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、企業勤務や就職情報誌のコピーライターを経て、中国で日本語教育に携わる。2007年〜立教大学観光学部特任准教授、11年〜神田外語大学留学生別科専任講師、13年〜早稲田大学日本語教育研究センター准教授を経て、17年〜同志社大学グローバル・コミュニケーション学部准教授。20年より同教授。

出身地:
東京都
趣味:
筋トレとジョギング。東南アジア料理や中華料理を作って晩酌すること。
休日の過ごし方:
猫に遊ばれること、明治以降の建築物などを主とする史跡巡り。

学部学科の詳細情報

OTHER LABORATORY 他の研究室はこちら